ドラッグストアなどで一般用医薬品(市販薬)を販売するためにできた専門資格の「登録販売者」
各都道府県で、年一回資格試験が行われています。
合格すれば、薬に関する仕事に携われ、全国で就職できるチャンスが生まれます。
でも……
「登録販売者試験ってなんだか難しそう」
「毎年どのくらいの人が合格できるのかな」
そう疑問に感じる人も多いでしょう。
そこで、今回は登録販売者試験の合格におけるこれまでの傾向についてお答えします。
合格ラインや合格率を知ることで、ひとつの目安にしていただき、自身がこれからどんな取り組みをしていくかを想像していただきたいです。
これまでの登録販売者試験の合格への傾向
登録販売者試験の合否を一言で説明すると……
「誰でも受けられる」試験だけど「誰でも受かる」試験ではないということです。
だからと言ってとてつもなく難易度が高く、合格することが困難な試験とは言いません。
登録販売者試験にはしっかり合格の基準があり、それを満たすことができれば誰もが合格できる試験なのです。
登録販売者試験の合格ライン
登録販売者試験には、あらかじめ合格するための基準が設けられています。
- 全120問中70%以上の正答率
- 各試験項目別で1章につき35〜40%以上の正答率(都道府県による)
このふたつの条件を満たした受験者は、全員合格です。
受験者同士の成績で競うことはなく、たとえまわりが全員満点であったとしても、自分が合格ラインを満たしていれば合格できます。
登録販売者試験の合格率
例年40〜50%程度が全国的な合格率といえます。
しかし、試験の実施年度や地域によることがあります。
つまり、ある県では合格率が60%を超えた一方で、ちがう県では30%ほどの合格率であることなどは、よくあることです。
試験の合格率では難易度は計りきれない
したがって、合格率を単純に見ただけでは、試験の難易度は計れないということです。
なぜ、合格率は試験の難易度に直結しないのか、いくつか考えられる理由があります。
試験内容は都道府県によってもちがう
登録販売者試験は現在、47都道府県を10ブロックほどに分け、それぞれのブロックで同日に同じ試験を実施する形式をとっています。
ですので、同じ年度に実施される試験でも、およそ10通りの試験内容で行われることになります。
全都道府県が同じ試験を実施するのではないため、合格率に差が出ることも考えられます。
もちろん、どの都道府県も試験内容は、厚生労働省が通知する「試験問題作成に関する手引き」に沿って作成されるため、難易度に大きく差が出ることはありません。
しかし、試験により選ばれる設問も変わるため、ときには予想もしていない問題に当たることもあるものです。
また、同じ試験を受けたブロック内での合格率に開きが出ることもあります。
受験資格が問われない間口の広い試験
現在、登録販売者試験には受験のために問われる条件は一切ありません。
年齢性別学歴不問、実務経験がなくても受験ができます。
誰でも受験のチャンスがあり、合格できる可能性がある一方……
十分な知識を蓄えることができず、試験当日を迎える人も多いのではないでしょうか。
受験のハードルが下がったことにより、年々受験者数も増加の傾向にあります。
一方で、登録販売者試験が始まった当初よりも合格率が低下しているのは、勉強不足の受験者が増加していることにもあるのではないかと考えられます。
前章に書いたように「誰でも受けられる」試験だけど「誰でも受かる」試験ではないというのは、まさにこのこと。
満点をとる必要はないかもしれないけれど、最低でも7割の正答率。
設問数でいうと「84問」の正解を獲得できる力をつけなければならないのです。
登録販売者試験合格のための勉強方法ポイント
いくら受験資格は問わない、いつでも誰でも思い立ったら受験ができるとはいえ……
合格するまで何度も何度も受験をくり返しているわけにはいきません。
そこで、登録販売者試験の合格において大切な、勉強への考え方をご紹介します。
苦手分野を把握して確実に知識を積めたか
まずはひと通り、試験範囲を確認したら「苦手分野を把握して確実に知識を積む」のが大切です。
合格のための最低ラインが、各章に定められている以上、どの分野もまんべんなく得点できる必要があるからです。
覚えた知識を十分にアウトプットしてきたか
そして過去問にいち早くとりかかり「覚えた知識をアウトプットする勉強方法」を大切にしましょう。
そこから試験本番の全体像を掴むこと、くり返し出題される問題から資格者として覚えるべき知識を認識することもできます。
自分に合った計画的な勉強スケジュールを立てたか
これらを「自分に合った計画的な勉強スケジュールで行う」ことで、モチベーションを維持しながら勉強に取り組むのです。
自分の学習が「いつまでに」「どうなっていたいか」を決めておくのも大切です。
実は登録販売者の勉強は「なってから」が本番
これだけの思いをして掴む資格試験の「合格」ですが……
実は、登録販売者の資格は、登録販売者に「なってから」こそ勉強が必要な仕事といってもいいでしょう。
なぜなら、薬や健康の知識は日々目まぐるしく変わっていくものだから。
今日覚えた知識は、明日にはもう古くなっていることだってあるのです。
それは、試験勉強で覚えた知識も例外ではありません。
また、登録販売者試験には接客に関する設問や、実際の商品に関する設問は一切出題されません。
つまり、これらの知識こそ合格後に培わなければならない分野なのです。
生涯を通じて学ぶ意識や思いのある人に目指してほしい
だからこそ、試験勉強において一夜漬けのように浅い理解で合格を目指すのではなく……
きちんと知識を自分のものにできる人こそ、登録販売者はおすすめの資格です。
学ぶことに前向きで、わからないことをそのままにしない。
自分の知識や技術が誰かの役に立つことを感じながら働くことができる。
そんな資格者がどんどん生まれるようになればいいですね。
登録販売者という資格は、一生勉強の資格!
生涯を通じて、学び成長していきたいものです。